ワーケーションやスローライフ用にセカンドハウスの購入を考える方もいるでしょう。
そんなとき魅力的なのが、格安で売りに出ている別荘物件ですね。
憧れの象徴だった『別荘』が、今では人気がなくなり、なかには0円の投げ売り別荘まで出ています。
どうしてそのような状態になってしまったのか、『投げ売り物件』は今買いなのか、ご紹介していきたいと思います。
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別荘とは
『別荘』とは、
“日常生活の用に供しないものとして総務省令で定める家屋又はその部分のうち専ら保養の用に供するもの”
引用:地方税法施行令(第四節 第三十六条)
と、位置付けられています。
つまり、別荘とは、日常生活を送る自宅とは別に、短期間の避暑や避寒、保養、休養などの目的で保有する、余暇や保養のための住居を指します。
別荘を取り巻く現状
1980年代の別荘ブーム時には憧れの象徴だった“富動産”の代表格・別荘。
将来の財産と考え、富裕層だけでなくバブル景気に沸くサラリーマン層をも魅了していました。
しかし、バブルの崩壊で不動産神話が崩れ去り、日本は不況の時代に突入します。
今や、別荘ブームから40年以上が経ち、バブル崩壊、リーマンショック、世界的パンデミックと、環境も大きく変化しました。
そして別荘がステータスだった世代はもはや高齢者世代。
モノを“所有する”ことをステータスだと感じない若い世代にとって別荘は、時代の変化とともに税金や管理費、修繕費などの維持費がかさむ、相続に困る厄介者と化してしまいました。
こうした背景が、別荘の価値が下がっている要因の一つとなっています。
投げ売り物件の最安値は0円
もともと数千万円、なかには何億もの値がついた豪華な別荘。
しかし、現在の別荘は、“負動産”と揶揄されるほど人気がなくなり、1000万円を切る破格の金額で『投げ売り』するケースが増えています。
中古物件を取扱うWebサイトには、「販売価格1円」や「100円」なかには「0円」をうたうサイトまで存在します。
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別荘の投げ売り物件はこうして生まれる
破格の値段で売り出される中古別荘ですが、そこに至るにはちゃんとした理由があります。
別荘ブームに乗って別荘地に別荘を購入したものの、使い勝手が悪く持て余したり、メンテナンスなどの維持費が負担に感じたり、高齢になり遺産整理の点から手放したいと希望する方が増えてきたことが背景にあります。
そのため、中古別荘が飽和状態になり、価値が下がってしまったのです。
また、日本の法律では所有している不動産の譲渡先がないと簡単には手放せない仕組みになっています。
そのため、「格安でもいいからとにかく別荘を手放したい」方が一定数存在し、別荘の投げ売り物件が生まれるという訳です。
投げ売り別荘を検討する際の注意点
とはいえ、もともと多額の総工費を投じて建てた別荘。
使い方や選び方によってはそれ相応の価値を見出せるものもあるやもしれません。
まずはどのような点に気をつけて別荘物件を見定めるべきか確認していきましょう。
立地の妥当性
『高台』『海沿い』『隠れ家的』など、一見良さそうな見出しが付いている物件は要注意。
言い換えれば、「斜面地で地盤が軟弱」「海抜が低く水害の危険がある」「車が入れない」など、住んでみて実感する欠点があります。
また、立地のデメリットは資産価値ともリンクします。
資産価値が低すぎると売るとき困りますし、高すぎると固定資産税が莫大なものになってしまい維持費が高くなり、一長一短です。
修繕の有無
投げ売り別荘のなかには、管理が行き届かず長い間放置されている物件もあります。
また、水回りや外壁などの耐久年数は、部材にもよりますが10年から20年といわれ、しっかりとメンテナンスしていても寿命を迎える設備が多々あります。
購入後使い続けるためにかかる修繕費がいくらかかるのか、冷静に検討しましょう。
維持管理費
別荘の維持管理費は、物件によって異なりますが、平均で30~80万円/年必要といわれています。
内訳は、
- 水道光熱費・通信費(利用0の月も基本使用量は必要)
- 税金(固定資産税・都市計画税・住民税均等割 など)
- 火災保険料
- 修繕費
- 別荘へ行き来するための交通費
などです。
管理会社が入っている別荘地では、管理費用も徴収されるのが一般的です。
また、『別荘地』と呼ばれるエリアでは、『別荘税』や『家屋敷課税』などの税が課せられる地域もあります。
周辺環境
投げ売りされている別荘のなかには、別荘が立地する別荘地自体が廃れている場合もあり、「空き家が多い」「環境整備が不十分」など、周辺環境に難ありな可能性もあります。
自然災害が多い昨今では、水害・土砂崩れや地震など、災害時のことも考慮が必要です。
仮に今は最高のロケーションでも、景観が変わったり、別荘地の利用者減少で管理体制や治安が悪くなったり、商店や病院、公共交通など、さまざまなものが閉店・閉鎖したりと、時間経過によって状況が暗転することもあります。
利用頻度
別荘の購入動機はさまざまですが、購入後何年か経ってライフスタイルが変化すると、以前より利用頻度が下がり徐々に使わなくなることも多いようです。
維持費に見合う利用頻度を保てないと、だんだん別荘にかかるコストが負担に感じるようになります。
購入にかかる諸経費
投げ売りの別荘といえど、購入の際の諸経費が0円にはなりません。
別荘を購入する際にかかる物件代金以外の費用としては、次のようなものが挙げられます。
- 手付金
- 印紙税
- 仲介手数料
- 登記費用
- 固定資産税
- 不動産取得税
など。
ローンなどを利用して物件を購入するのなら、別途、団体信用生命保険・火災保険・ローン保証料・融資手数料などの諸経費がかかります。
物件によっては、温泉権利金・公共施設負担金・修繕積立などが必要な場合もあります。
物件自体が格安なぶん、本体価格よりも諸経費のほうがよっぽど高い場合が多々あります。
別荘より身近なセカンドハウス
セカンドハウスは、単に別荘を言い換えたものではありません。
別荘とセカンドハウスとの違いは、利用頻度と税制面での優遇措置にあります。
『セカンドハウス』とは、月に1日以上居住している自宅以外の持ち家のこと。
普段暮らしている家とは別に、勤務先の近くで平日のみ居住するための通勤に利用する家や、二拠点生活のために購入した家など、生活拠点として所有する住居のことを指します。
別荘よりも身近で、立地も別荘地限定ではなく、第二の拠点にしやすい場所を選びます。
セカンドハウスと認定されれば、不動産取得税の控除や都市計画税の減額など、別荘に必須の税金が少なくなるメリットがあります。
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まとめ
「安物買いの銭失い」とはよく言ったもので、安い理由だけで飛びついたものには、だいたい落とし穴があるもの。
かといって高ければ良いわけでもありません。
モノの価値は利用する方にとってどれほどの価値があるかです。利用価値と維持費用、手放すときのことも考慮に入れて賢い選択をしたいですね。
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