リノベーションに適した中古一戸建てとは？リフォームとの違いや後悔しないための進め方を解説

中古一戸建てを購入してリノベーションをすれば、ご家族のニーズに合わせて最新の機能や性能を持つ住宅を新築より安く入手できます。

とはいえ、すべての中古一戸建てがリノベーションに向いているわけではありません。

この記事では、中古一戸建てのリノベーションのメリットや失敗例とその対策、どのような住宅がリノベーション向きなのかなどを詳しく解説します。

後悔しない中古一戸建てのリノベーションをしたい方は、ぜひご覧ください。

リフォームとリノベーションの違い

リフォームとリノベーションは住宅の改修という意味で同一に扱われることも多く、定義があいまいな部分もありますが、以下の基準で分けられます。

• リフォーム：「もとの形に戻すこと」
• リノベーション：「新たな価値や機能を付加すること」

リフォームの具体例

リフォームは、中古住宅が経年で価値や機能が低下している部分に対し、復旧をはかる点がポイントです。

壁紙や畳の更新

リフォームはもとからあるものに対して、その部分を新しく更新します。

古くなった壁紙や畳を交換して、外観や機能を回復するのもその一つでしょう。

畳や壁で吸湿効果があるものは、交換したり張り替えや塗り替えをおこなったりすることで機能を復活させます。

給湯器などの交換

給湯器やエアコンなど故障のまま、あるいは古いまま現状渡しだった設備を、リフォームで新しく交換します。

エアコンは壊れていなくても、交換によって空調能力を高めたり、電力の消費量を下げたりできます。

外壁の再塗装

傷んで外観や防水機能の悪くなった外壁を塗り直すのもリフォームです。

外壁の防水性能が落ちてくると、雨漏りや室内の湿気の原因となるため、基礎などの大切な構造部分を守ることにもつながります。

リノベーションの具体例

リノベーションは家の保守ではなく、今までなかった価値や機能の付加がされるかが改修のポイントとなります。

リビングを広くする

リビングを隣接する和室とつなげたり、小屋裏を露出させて吹き抜け風にしたりして、広さという価値を付加するのはリノベーションにあたります。

近年リビングは広く開放感のある構造が好まれており、築年を経た一戸建てを最新の仕様に改修するのも良いでしょう。

キッチンの機能向上

一般的な壁付けシステムキッチンをアイランド式にしてダイニングの機能を変更し、家事の際の使い勝手向上をするのもリノベーションといえます。

これに対して、システムキッチンの老朽化でユニットを交換するのみならリフォームの範囲でしょう。

広く動きやすい機能をキッチンに追加するだけでなく、外見も明るく開放的になります。

住宅性能の向上

筋交いや金物の追加などで耐震性を高めたり、断熱材の追加や窓の二重化で断熱性を高めたりする工事は、リノベーションの例といえます。

これ以外に、オール電化や太陽光発電の設備付加などの設備を設置する工事も、機能追加の一環です。

中古一戸建てをリノベーションするメリットとデメリット

中古一戸建てをリノベーションするメリットとデメリットの要点は、以下のようになります。

• メリット：総予算を抑えながら希望通りの住まいに仕立てられる。
• デメリット：費用の見積もりやスケジュールに注意が必要。

中古一戸建てリノベーションのメリット

中古をリノベーションする最大のメリットは、希望の立地でリノベーション費用込みでも新築より安く、希望に沿った住まいが取得可能になることでしょう。

まず希望エリアは、同様の建物と立地なら新築よりも中古のほうが総予算が安くなり、物件選びの選択肢も多くなります。

また、新築の場合は注文住宅であったとしても、提供可能な範囲の間取りや寸法、部材、設備とは異なるものをオーダーするのは難しいでしょう。

一方で中古は、ご家族のニーズやこだわりに合わせ、どのようにでもリノベーションできるうえDIYも自由です。

中古一戸建てリノベーションのデメリット

中古一戸建てをリノベーションする場合に必要な注意点として、建物選びや事前のチェックが十分でない場合、かえって余計な費用がかさむことが考えられます。

住宅の性能や機能を高める前に、補修などのリフォームの費用がかさんでしまうことも要注意です。

また、リノベーションは工事の規模が大きくなるため工期の見積もりが難しく、契約から支払い、引っ越しから入居までのスケジュールには余裕をもっておく必要があります。

このようなデメリットからどのような失敗が想定されるか、以下で詳しく見ていきましょう。

中古一戸建てリノベーションの失敗例と対策

中古一戸建ては居住するにあたっての希望をはっきりさせたうえで、住まい選びの段階から専門家に相談しながらおこなうのがおすすめです。

以下で失敗例と、後悔しないための事前の対策をご説明します。

思うように変えられなかった

例としては、床下など見えない部分の傷みがひどくて思い通りのリノベーションができない、吹き抜け状の高い天井を作ろうとして耐震強度や断熱、防音の対策が難しくてあきらめるなどのケースです。

壁を取り払おうとしたところ、建物の強度を担う壁だとわかって断念することもあるでしょう。

物件を決める前には、なるべく具体的に下調べをおこなうのが大切ですが、中古物件の構造は建築図面などが残っていないケースも多く、シロアリなどの傷みは外見では発見しにくいものです。

構造や見えない部分に関する傷みのチェックは、専門家に検査を依頼すれば安心です。

住み心地を犠牲にしてしまった

リノベーションの工事自体は希望通りに仕上がったものの、温度管理が難しく室内が暑い、寒いなどの問題が出たり、家のなかがうるさく感じたりすることがあります。

吹き抜けを設けたり部屋をつなげて広くしたりする場合、それで起こりうるデメリットを考えることで、断熱材をしっかり入れる、床暖房を検討する、天井の吸音材を増やす、窓を二重に改装するなどの対策ができます。

住んでみたら使いにくかった

工事を依頼した内容に問題があったか、希望通りの施工がされなかった場合で、実際に住んでみて使いにくかったということもあります。

工事の担当者からすると、「希望通りにやるから大丈夫」「何もいわれてないからこれで良い」と考えていることもあります。

工事業者に任せきりにせず、質問や確認をしっかりするようにしましょう。

以下は、リノベーションの施工会社に対して感じた不満の内容と割合を調査したデータです。

コミュニケーションが十分に取れなかった	87人(21.75%)
希望が通らなかった	51人(12.75%)
予算内で納めてくれなかった	50人(12.5%)
工事完了日が遅れた	33人(8.25%)
提案がなかった	24人(6%)
態度が良くなかった	22人(5.5%)
その他	39人(9.75%)
施工会社への不満はない	145人(36.25%)

その他の内容

• いくら待っても来なかった
• アドバイスがなかった
• 使っている材料が良くないものだとあとで知った
• 営業担当者の説明や連絡が不十分
• 仕上がりに不備があったのに対応してくれなかった
• 仕上がりが頼んだ寸法より少し小さかったのと、家具に傷を付けられた
• 十分なアフターサービスがなかった
• 間違えの発注があった
• こだわりが感じられない

2022年ユニテ調べ

その他の内容も含めて読み取れることは、3分の2弱の方が何らかの不満を持っており、コミュニケーション不足が招いた不満が多いことです。

意思疎通は相互で成り立つものですので、質問や確認は積極的におこないましょう。

予算オーバーした

中古一戸建てのリフォームは、費用の構成が以下になるので、購入を検討する段階である程度把握しておきましょう。

• 物件の購入価格か
• 物件購入の諸経費
• リフォーム、リノベーションの費用

中古物件の場合は、断熱材の追加や傷み具合によっては外壁、雨どい交換などの費用を見込んでおくと安心ですし、事前にリフォーム済みの物件の購入もできます。

※リフォーム・リノベーション済みの特集をご覧ください。
【ちゅうこだて！】空き家・中古住宅・中古一戸建て・一軒家の購入情報サイト

あとからリフォームすることに

リノベーションに予算を割く分、古い設備の更新を先送りにする判断をしたところ、比較的すぐに故障が起きるケースがありえます。

リノベーションと同時に、給湯器やエアコンなどのリフォームの必要性もしっかり検討しましょう。

入居のスケジュールが延びた

中古物件の取得後に改修工事をおこなう場合、入居までのスケジュールが長くかかる場合があるうえ、さらに工期が延びることも考えられます。

仮住まいや引っ越しなどのスケジュールは、余裕を持って対応するようにしましょう。

中古一戸建てでリノベーションに適した物件とは

リノベーションをおこなって希望通りの家にするために、後悔のない物件選びをするには、どのようにしたら良いのでしょうか。注意すべき基礎的な点をご説明します。

建物構造は軸組工法かラーメン構造

間取りを大掛かりに変更したい場合は、木造の軸組み工法(在来工法)はもっとも自由度が高く、おすすめです。

また、鉄筋コンクリート工法ではラーメン構造であれば、間取り変更の融通が利きます。

ツーバイフォーなどほかの構造は、壁の位置を変更できない場合があるなど制約が大きく、間取りのリノベーションには向きません。

築年数が古過ぎない

立地と予算にこだわり抜いた結果で築年数が古過ぎると、前述のように見えない構造部分の劣化や老朽の補修に時間と予算を割かれることがあります。

また、断熱性能の向上や耐震補強などでリノベーション費用が増えることもありうるでしょう。

さらに、築年数を経た物件は住宅ローンが組めるか、住宅ローン控除が使えるかなどの点で、十分な確認が必要となります。

立地などの関係で、どうしてもその物件にこだわりたい場合は、専門家にインスペクション(建物状況調査)を依頼しましょう。

インスペクションの依頼は売り主、買い主のどちらからも可能で、調査に問題がなくても隠れた不具合が見つかった場合に修繕対応してもらえる「住宅瑕疵総合保険」の加入もできるようになります。

インスペクションの価格の相場は、一戸建てで4.5～6.5万円程度です。

居住目的に近い

もとになる家の間取りや仕様が希望と離れ過ぎていても、リノベーションの費用や期間が余計にかかってしまうことになります。

候補になる物件は幅広く情報を集めて、なるべく数多いなかから検討するようにしましょう。

ちゅうこだて！の「住まいの紹介サービス」では、中古一戸建て探しのご相談を24時間チャットで受け付けております。
ぜひお気軽にご利用ください。

中古一戸建てリノベーションの流れ

中古一戸建てをリノベーションするうえで、入居後に後悔しないための進め方の流れをご説明します。

【購入前】住まいへの希望と予算を明確化

リノベーションのイメージを具体的にするため、Webや雑誌などでリノベーションの事例をたくさん集め、家族で希望する内容をまとめるように話し合いましょう。

その際には、改修したい場所の優先順位も明確にしておきます。

この段階で住宅の購入にともなう諸経費も、おおまかな費用を把握しておくと良いでしょう。

仲介手数料やローンの手数料、契約時の印紙代、不動産登記の費用などの諸経費は、一戸建ての場合で物件価格の6〜10%が必要です。

また、以下のような中古住宅の購入やリノベーションで使える住宅ローンや減税、補助金制度も確認しましょう。

一定の要件を満たすリノベーションは、減税や補助金など優遇制度の対象となり、活用することで、数十万〜数百万円の費用軽減も可能です。

リノベーションの優遇制度

住宅ローン控除	住宅ローンを利用したリノベーションは、一定の要件を満たす場合に、住宅ローン控除が適用となる。
投資型減税の利用	耐震、バリアフリー、省エネ、三世帯同居で一定の要件を満たすリノベーションをおこなうと、投資型減税の適用を受けられる。
補助金	一定の要件を満たすリノベーションは、補助金の対象となる場合がある。 国と自治体の両方に実施の可能性あり。

税制や補助金などは、毎年実施の有無や内容に変更があるため、必ず最新の情報を確認するようにしましょう。

【物件探し】費用と機能を念頭に探す

前項で調べた点をもとに、希望のエリアから候補物件を探します。

探す期間をしっかりと設けて、不動産会社に「このエリアでこんな条件で物件が出たら教えて」と声をかけておくのがおすすめです。

【物件選び】専門家によく相談する

後悔のないリノベーションのために、以下の点は不動産会社のスタッフや住宅検査スタッフ、リノベーション業者に、実際に物件を見てもらうのが安心です。

• 希望するリノベーションに適した構造か
• 基礎や躯体の傷み具合
• リフォームが必要となりそうな設備の有無

ヒアリングを受けたうえで、家族の希望であるリノベーションが可能かどうか、現地調査をしてもらい、必要な費用を具体化します。

【見積もり】リノベーション含めた総予算を出す

リノベーションは複数の業者から見積もりを取ります。施工の内容、工事範囲、工期、金額、支払いの取り決め、保証、アフターフォローの内容などを確認しましょう。

リノベーションやリフォームの費用を購入価格、購入時の諸経費と合計し、自己資金や助成金も念頭に、借入の審査を受けます。

中古物件はローンの検討期間が短い点にも注意が必要です。

新築物件は引き渡しまでに数か月〜1年以上あり、ローンの検討や資金計画の組立の時間が取りやすいです。

一方中古物件は売買契約から引き渡しまでが1ヵ月程度と短いケースが多いため、事前に各金融機関のローン商品を比較しておくと良いでしょう。

スケジュールに不安のないように、不動産会社に提携金融機関を紹介してもらって進めることもできます。

また、前述のようにリノベーションの施工が始まっても、業者の窓口の方とのコミュニケーションは大切にしましょう。

リフォーム・リノベーションに適した一戸建てを探すならちゅうこだて！

リフォームやリノベーションの実施を前提として中古一戸建てを購入する場合は、どのような住宅にしたいのか、ローンを組めるのかなど、幅広いポイントに留意して物件を選ぶ必要があります。

リフォーム・リノベーション物件をお探しの方へ

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