住宅ローン借り入れ時に心配になるのが、病気や事故等で働けなくなったり、家族を残して死んでしまった際に、ローンを無事に返し終われるかどうか。
そんなとき頼りになるのが、住宅ローン借り入れ時に加入する“団信”です。
“団信(団体信用生命保険)”とは、住宅ローン契約者に万が一のことがあったときにローン残高がゼロになる生命保険のこと。
このページでは、団信のしくみや、種類、注意点や入れないときの対処法などをご紹介します。
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団信(団体信用生命保険)とは
“団信(団体信用生命保険)”とは、住宅ローン契約者が万が一働けなくなった場合に、ローン残高をゼロにすることができる生命保険のことです。
一般的な団信は、契約者が死亡または所定の高度障害状態になったときが保障対象です。
保障期間は、住宅ローンの返済期間と同じで、完済と同時に団信の契約も終了します。
団信はほかの生命保険とは異なり、住宅ローン借り入れ時に契約してしまえば住宅ローン完済時までずっと続く生命保険です。
かわりに住宅ローン借り入れ時以外に、加入や加入内容の変更はできません。
また、保険料は住宅ローンの金利でまかなわれており、その利率は0.2〜0.3%と言われています。
銀行の変動金利は0.3%を切ることもある超低金利の昨今、支払った金利分が団信の保険料相当と同額程度と考えると、とてもお得な保険といえます。
団信の加入方法と条件
団信はいつでも誰でも入れる生命保険ではありません。
基本の加入条件は以下の3つです。
- 住宅ローンをこれから借りる方
- 住宅ローンを借り換える方
- 健康診断を受け、所定の健康条件を満たした方
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団信の保険料
団信の場合、保険料は住宅ローンの金利に含まれており、基本的には追加で保険料が発生することはありません。
ただし、後ほど団信の種類で解説する、特約付き団信に加入する場合、金利が上乗せになる場合があります。
金利の上乗せ幅は、一般的に0.1〜0.3%の範囲であることが多いようです。
団信の種類を比較
団信は、住宅ローン契約者に万が一のことがあったときに備える保険です。
団信にも一般の生命保険と同様いくつかの種類があり、保障内容もそれぞれ特徴があります。
銀行ごとに取扱う種類が異なるので、住宅ローンの借り入れ先を選択する際の、一つの指標として比較してみましょう。
死亡時・高度障害保障(特約なし)
一番スタンダードな団信が、この『死亡時・高度障害保障』です。
住宅ローン契約者が返済期間中に、死亡もしくは高度障害の状態となり、返済困難な状態に陥った際に保険金が支払われます。
また、高度障害状態とは、具体的に以下の状態を指します。
高度障害状態 該当内容
- 両目の視力をまったく永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能をまったく永久に失ったもの
- 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用をまったく永久に失ったもの
- 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用をまったく永久に失ったもの
- 1上肢を手間節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用をまったく永久に失ったもの
- 1上肢の用をまったく永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
三大疾病特約
“がん”・“心疾患”・“脳血管疾患”の、3大疾病に備えられるタイプが『三大疾病特約』です。
保険会社が定める所定の状態に該当した場合に保障対象となる特約で、団信の代表的な特約の一つです。
八大疾病特約
死亡時・高度障害保障に加え、“がん”・“心疾患”・“脳血管疾患”の三大疾病、そして“高血圧疾患”・“糖尿病”・“腎疾患”・“肝疾患”・“慢性膵炎”の重度慢性疾患を患い、就業不能状態となった場合に保険金が支払われるのが『八大疾病特約』です。
全疾病特約
がんを含む、すべての病気やケガの影響で、就業不能な状態に備えられるのが、『全疾病特約(就業不能保障特約)』です。
“新型コロナウイルス感染症”も保険金や給付金対象にしている保険も多く、付帯すれば多くのリスクをカバーしてくれます。
ただし、精神障害、妊娠・分娩・産じょく等、一部保障の対象とならないものがあります。
夫婦連生団信
夫婦の収入を合算して住宅ローンを計画するご家族に適した団信です。
夫婦のどちらかが主債務者、もう一人が連帯債務者になる、“連帯債務型”の住宅ローンを借り入れた際『夫婦連生団信』を利用すると、ご夫婦どちらでも、一人が死亡または高度障害状態に陥ったとき、住宅ローン残高がゼロになる保険です。
また、夫婦で費用を分散して住宅ローン契約者となる『ペアローン』の場合は、夫婦連生団信対象外です。
ペアローンの場合、夫と妻それぞれが別の住宅ローン契約をすることになるため、団信加入もそれぞれです。
一人が亡くなっても、もう一人の債務者の住宅ローン残高は残ったままとなります。
団信に加入する際注意すること
団信はいざというときに役立ちますが、内容をよく確認しておかないと「使いたいとき対象外だった」なんてことも。
加入する際は、以下のことに気をつけましょう。
- 健康不安等で団信に加入ができないと、住宅ローンが組めない銀行が多い
- 支払い条件や免責事項は保険会社によって異なるため、内容をよく確認する
- 加入後に契約内容を変更することはできない
- 住宅ローン借り換え時には再加入が必要
- 年末調整や確定申告時の所得税の控除対象には該当しない
団信に入れないときは
健康診断に引っかかり、住宅ローン契約時に団信への加入ができない方には、二つの方法があります。
一つが団信の加入要件が緩和されている『ワイド団信』を取り扱っている銀行を利用すること。
もう一つが、団信への加入が任意の『フラット35』を利用することです。
ワイド団信とは
持病などの健康上の問題で、一般的な団信に加入できない方向けに、加入要件が緩和されている団信のことを『ワイド団信』と言います。
ほかの特約と同じく、上乗せ金利がかかることが通例です。加入条件は取り扱い各社で異なりますので確認を。
フラット35とは
『フラット35』とは、全国300以上の金融機関が、住宅金融支援機構と提携して扱う“全期間固定金利型住宅ローン”のことです。
団信に加入しなくても利用できるのがフラット35の利点ですが、反面、利用者が死亡するなどして返済ができなくなってしまった場合には、住宅を相続した方が債務を引き継ぎ返済していくことになります。
団信の代わりとなる一般生命保険や医療保険に加入して、万が一に備える方向で考えましょう。
団信の選び方のポイント
団信を選ぶ際のポイントは、団信の保障内容と、ご自身が加入している保険の保障内容がかぶっていないか確認することが大切です。
選び方によっては、一般生命保険に加入するよりお得に保障を受けられる場合があります。
また、保障内容はどこまでカバーされているのか、いざ使うとき利用しやすいシステムになっているか、特約の有無や免責の有無などをしっかり確認しましょう。
まとめ
超低金利が続く住宅ローン市場において、団信を充実させることで顧客獲得を考える金融機関は増加傾向にあります。
多様化する団信は、借り手にとってうれしい動きです。
メリットデメリットを知って、自身が加入している保険と合わせて、団信を考えてみましょう。住宅ローン選びが、きっと充実したものになりますよ。
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