普段ふるさと納税を活用している方が、新たに住宅ローンを組んだ場合、確定申告や年末調整に住宅ローン控除も加わり、節税対策が複雑化します。
そうはいっても、ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるため、両方利用しない手はありません。
このページでは、住宅ローン控除とふるさと納税の基本情報や申告方法、注意点をできる限りわかりやすくご紹介します。
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節税に役立つ住宅ローン控除とふるさと納税
結論からいうと、住宅ローン控除とふるさと納税の併用はできます。
ただ、ローン控除とふるさと納税は、どちらも納税額から控除するため、収める税金の額より多い控除はできません。
控除額を自分でコントロールできるふるさと納税を調整して、節税に活用しましょう。
住宅ローン控除の基本
住宅ローン控除(減税)とは、正式には『住宅借入金等特別控除』といい、住宅ローンを使ってマイホームを持ったとき、適用条件に当てはまれば、所得税や住民税を差し引くことができる減税制度です。
住宅ローン控除の上限金額は、住宅の性能によって異なります。
新築のほか、リフォームや中古住宅取得のための借り入れも住宅ローン控除対象なので、上手に活用しましょう。
2022年10月時点での住宅ローン控除額の内容をまとめました。
以下の表で、自身の控除条件を確認してみましょう。
住宅ローン控除早見表 [最大控除額]
住宅の種類 | 住宅性能 種別 |
最大控除額 | |||
---|---|---|---|---|---|
入居年 | |||||
2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | ||
新築 ・ 買取再販 ※ |
認定住宅※ | 年間 35万円 (期間合計 455万円) |
年間 31.5万円 (期間合計 409.5万円) |
||
ZEH水準省エネ住宅 | 年間 31.5万円 (期間合計 409.5万円) |
年間 24.5万円 (期間合計 318.5万円) |
|||
省エネ基準適合住宅 | 年間 24.5万円 (期間合計 318.5万円) |
年間 28万円 (期間合計 364万円) |
|||
その他の住宅 | 年間 28万円 (期間合計 364万円) |
年間 14万円 (期間合計 140万円) |
|||
既存住宅 | 認定住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
年間 21万円 (期間合計210万円) |
|||
その他の住宅 | 年間 14万円 (期間合計 140万円) |
※認定住宅とは、認定長期優良住宅、低炭素建築物および低炭素建築物とみなされる特定建築物をさします。
※買取再販とは、既存住宅を買い取り、リフォーム工事をおこなってから販売する事業形態のこと。
【ポイント】
- 住宅ローン控除は、『税額控除枠』から控除される
- 控除される税金は所得税
- 所得税から引き切れなかった分は住民税から控除される
- 控除額は住宅ローン残高の0.7%
住宅ローン控除については、下記の記事で詳しく解説しています
関連記事「住宅ローン控除はいつまで?適用期限と申請期限【2022年度版】」
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ふるさと納税の基本
ふるさと納税とは、個人が2,000円を超えるふるさと納税(寄附)をおこなった際、原則として所得税・住民税から一定の上限金額まで寄附金額が控除される制度をさします。
例えば、納税者本人の年収が給与所得のみで500万円で共働き+子2人(高校生と大学生)の場合、2万8,000円がふるさと納税の上限額となります(※最低自己負担2,000円の場合)。
ふるさと納税は上限額以上にもできますが、上限額を超えた額は寄付金という扱いになり、所得税や住民税の控除が受けられません。
よって、自分の上限額がいくらかを確認し、ふるさと納税をおこなうことではじめて節税が実現します。
控除上限額は収入や家族構成によって違うため、ふるさと納税を申し込むサイト内に設置されているシミュレーション機能を使うと便利です。
ふるさと納税の控除上限額シュミレーション
ふるさと納税の控除を受けるためには、原則確定申告が必要です。
確定申告の手間を省きたい方のために『ワンストップ特例制度』という制度があります。
『ワンストップ特例制度』を使えば、原則確定申告が不要になります。
そして一番のメリットは、この制度を使えば、ふるさと納税の控除が、住民税のみからの控除になる点です。
結果、税計算がかんたんになります。
より詳しく知りたい方はこちらを参照しましょう▼
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
【ポイント】
- ふるさと納税の申請方法は、『確定申告』と『ワンストップ特例制度』の2つがある
- 控除される税金は住民税(ワンストップの場合)
- 控除される税金は所得税と住民税(確定申告の場合)
- 確定申告で控除されるときは、『所得控除枠』と『税額控除枠』から控除される
住宅ローン控除とふるさと納税、控除の順番
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合、大切になるのが控除の順番です。
【住宅ローン1年目】確定申告の場合
ふるさと納税を確定申告でおこなう場合、以下の手順になります。
① ふるさと納税での所得控除
▼
② 住宅ローン控除での所得税の税額控除
▼
③ 住宅ローン控除での住民税の税額控除
(②で引き切れていない分がある場合)
▼
④ ふるさと納税での住民税の税額控除
【住宅ローン2年目】年末調整の場合
ふるさと納税をワンストップ特例制度でおこなう場合、以下の手順になります。
① 住宅ローン控除での所得税の税額控除
▼
② 住宅ローン控除での住民税の税額控除
(②で引き切れていない分がある場合)
▼
③ ふるさと納税での住民税の税額控除
住宅ローンを開始した1年目は、会社員も含めて確定申告が必要です。
そのため、ふるさと納税の『ワンストップ特例制度』が、住宅ローン1年目は利用できなくなります。
すると、ふるさと納税分が、住民税だけでなく所得税からも控除されるため、住宅ローン控除の所得税の税額控除の額面に影響が出る可能性があります。
所得税が、ふるさと納税分の控除前に住宅ローン控除されないと、住宅ローン控除の金額が想定していたよりも低くなり、控除の順番が変わることで税率にかける課税所得額が変わってしまうため、住宅ローンの控除額が満額受けられない可能性があります。
住宅ローン控除とふるさと納税併用するときの注意点
住宅ローン控除とふるさと納税を併用するとき、注意するポイントを完結にまとめると以下になります。
- 住宅ローン控除の1年目はワンストップ特例制度を利用できない
- その他の確定申告が必要な場合もワンストップ特例制度を利用できない
- 確定申告する場合、所得控除が増えるため税額控除に比べて節税効果が少ない
- ふるさと納税の納税額は、必ずシュミレーションを
- ふるさと納税で支払い過ぎたお金は寄付金となり還付されない
iDeCoや医療費控除も視野に入れておこう
節税のために役立つのは、住宅ローン控除とふるさと納税だけではありません。
『iDeCo』や『生命保険料控除』、『医療費控除』など、利用できる税制優遇制度はほかにもあります。
このような機会に、利用できる税制優遇制度を総点検してみましょう。
住宅ローン控除とふるさと納税併用、得するとき損するとき
住宅ローン控除とふるさと納税を併用した際、ふるさと納税の控除額は変動しません。
損得でいえば、住宅ローン控除の控除額は、所得控除を受けた場合、所得税額が減り、住民税の控除上限13万5000円を上回ってしまうと、控除が減ってしまうことがあります。
こういった場合は、事前にふるさと納税の納税額を減らし、住民税の控除上限額を満額使えるように調整しましょう。
まとめ
ふるさと納税と住宅ローン控除の併用は、計算が難しくて難色を示される方も多いですが、『ワンストップ特例制度』が活用できれば、ふるさと納税が住民税から控除されるため、計算がしやすくなります。
しかし、住宅ローン控除を利用する初年度は確定申告が必要になるため、ワンストップ特例制度を利用できません。
ワンストップ特例制度を利用できるのは2年目以降になることを覚えておきましょう。
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