スキップフロアは一階しかない平屋の空間を有効活用できる方法の一つです。
もともと平屋は高齢世帯から選ばれていましたが、近年は若い世帯の間でも平屋の人気が高まっています。
新型コロナウイルス感染拡大によってリモートワークが普及し、郊外の広い土地に平屋を建てる世帯が増えたことが一因と考えられます。
平屋にスキップフロアを設ける際は、将来を見据えた間取り設計が欠かせません。
この記事ではスキップフロアがある平屋のメリット・デメリットを解説します。
スキップフロアの活用例や後悔しないポイントもまとめました。
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スキップフロアとは
スキップフロアとは、同じフロアのなかに異なる高さの空間が設けられた間取りです。
例えばフロアを一段上げたり下げたりするだけでもスキップフロアと呼びます。
フロアの高さは階段一段分の小さな段差から中二階のような大きな段差までさまざまです。
高さが違うフロアがゆるやかにつながることによって、立体的な空間になります。
スキップフロアは平屋だけでなく、二階建てや三階建ての一戸建てで採用されることも多いです。
スキップフロアと似たような言葉としてロフトがあります。
ロフトは建築基準法に定められた空間で、「1.4m以下の高さ」かつ「下階の50%未満の面積」などスキップフロアに比べて条件が明確です。
条件を満たす場合は、建物の延べ床面積から除外され、固定資産税の課税対象面積からも除外されます。
スキップフロアがある平屋のメリット
スキップフロアのある平屋は、空間に変化をつけておしゃれに仕上げられる点が大きなメリットです。
具体的には、以下のメリットがあります。
- メリット①縦の空間を有効活用できる
- メリット②採光を確保しやすい
- メリット③開放感を演出できる
メリット①縦の空間を有効活用できる
スキップフロアがあると縦の空間を有効活用できるため、一階しかない平屋でも広々とした印象になります。
通常の平屋は一階部分のみに限定され、横の空間しか活用できません。
横の空間を仕切るための壁や扉が増えてしまい、圧迫感のある印象になってしまいます。
しかしスキップフロアはフロアの高さの違いによって空間を仕切るため、圧迫感が少ないです。
また、土地面積が狭くても限られた空間を有効活用できるスキップフロアは、狭小地と相性が良いです。
狭小地で平屋を建てようとすると家のなかが窮屈になりがちですが、スキップフロアで縦の空間を増やせば広く見せられます。
特に都心部は空いている土地が少なく、狭小地しか選択できないことも多いです。
二階建てや三階建てのように建物自体の高さを変えずに済むため、高さ制限がある地域で平屋を建てる場合にも適しています。
メリット②採光を確保しやすい
スキップフロアのある平屋は採光を確保しやすく、日当たりが良い点もメリットです。
通常の平屋では壁や扉によって、窓からの光が遮られてしまいます。
そのため平屋の中心部分や北側部分など、建物の奥のほうが暗くなることが多いです。
しかしスキップフロアであれば壁や扉などの遮へい物を減らせるため、室内の奥まで光が入りやすく、どこにいても明るい空間で過ごせます。
日当たりを重視する方は、方角に合わせて段差の取り方や窓の位置を決めましょう。
例えば南向きの窓はできるだけ高い位置に設置するのがおすすめです。
フロアとフロアの間に窓を設けて、採光を確保する方法もあります。
適切な位置に窓を設置すると、採光だけでなく風通しも良くなるでしょう。
メリット③開放感を演出できる
平屋に立体的なスキップフロアをつくることで、開放感が生まれるというメリットもあります。
横の仕切りを抑えられるため、空間が細切れになりません。
異なる用途の空間がゆるやかなつながりを持ち、一つの大きな空間をつくりだします。
開放感が生まれることによって、家族同士のコミュニケーションも増えるでしょう。
違う部屋で過ごしていても、お互いの存在を感じられます。
スキップフロアはほかとは違う個性的な雰囲気を演出できるため、「おしゃれな家に住みたい」という方にも人気です。
スキップフロアによって単調な平屋の雰囲気はがらりと変わり、空間全体にアクセントが生まれます。
高さの変化を活かして、リゾートホテルのような雰囲気も演出できるでしょう。
スキップフロアがある平屋のデメリット
スキップフロアはメリットばかりではありません。
スキップフロアのある平屋を検討する際は、以下のデメリットを意識しましょう。
- デメリット①建築コストや固定資産税が高い
- デメリット②段差が生まれる
- デメリット③空調管理が難しい
デメリット①建築コストや固定資産税が高い
平屋の快適性向上が期待できるスキップフロアですが、経済面においてはデメリットがあります。
経済的な負担が大きくなりやすいのが、建築コストや固定資産税です。
スキップフロアのある平屋を新築する場合、階段や床を追加して新たな空間をつくるため建築コストが高くなります。
材料が増えたり手間がかかったりするため、材料費や人件費がアップすることが原因です。
通常の平屋を想定して予算を組んでいると、大きく予算オーバーしてしまうケースも少なくありません。
スキップフロアによって住宅の床面積が増えた場合は、固定資産税も上乗せされます。
固定資産税は毎年納めなければならないため、平屋を購入したあともランニングコストの負担が増える点に注意しましょう。
デメリット②段差が生まれる
スキップフロアでは段差が生まれるため、バリアフリーの面ではデメリットです。
老後を見据えて平屋を選んでいる方は、スキップフロアによって平屋のメリットを打ち消してしまうことになりかねません。
若いときに住むのは特に問題ないですが、年齢を重ねたときにスキップフロアの段差を不便に感じることが多いです。
小さい子どもがいる場合も、段差でつまずいてケガをしてしまう可能性があります。
ホームエレベーターを取り入れれば段差は解消されますが、建築コストがかかるうえに間取りが制限されてしまいます。
段差の近くには手すりを付けておく、キッチンやリビングなどのスペースは平面に収めるなど、予算に合った適切な対策が不可欠です。
デメリット③空調管理が難しい
空調が効きにくく温度管理が難しい点も、スキップフロアのデメリットです。
スキップフロアを設置すると上の段に合わせて天井が高くなります。
さらに部屋を仕切る壁が少なく、室内全体が広いワンルームのような状態です。
大空間では効率良く空調管理ができないため、夏は暑く冬は寒くなります。
大容量の空調設備を設置する方法が有効ですが、消費電力が増える分、毎月の光熱費が高額になる点は覚悟しなければなりません。
音やにおいが漏れやすい点にも注意が必要です。
例えばキッチンで調理すると油を含んだ空気が充満し、家具を汚す可能性があります。
リビングでの会話が書斎まで筒抜けになってしまい、仕事に集中できない可能性もあるでしょう。
平屋におけるスキップフロア活用例
平屋のスキップフロアにはさまざまな活用例があります。主な活用例は以下のとおりです。
- 来客用の寝室
- 子ども部屋
- 書斎
- セカンドリビング
- 収納
来客用の寝室
平屋のスキップフロアを来客用の寝室として活用する方法です。
いつもは使用しませんが、子どもの家族が泊まりに来たときなどに活躍します。
家族同士であれば、ほど良いつながりを感じながら過ごせる点もメリットです。
スキップフロアに来客用の寝室を設ければ、一階部分に客間をつくる必要がありません。
普段の生活は段差のない一階部分で完結するため、老後も安心して生活できるでしょう。
ただしスキップフロアは壁や扉が少ないため、プライバシーを確保しにくい点に注意しなければなりません。
ゲストによっては十分に寛げない可能性があります。
家族や親しい友人など気心が知れたゲストが使う寝室として使用しましょう。
子ども部屋
スキップフロアを子ども部屋として活用する方法もあり、子育て世帯に人気です。
平屋の場合面積が限られているため、たくさんの部屋はつくれません。
子ども部屋を確保する余裕がない場合、スキップフロアを子ども部屋として活用するのがおすすめです。
スキップフロアを見渡せる間取りであれば、リビング・キッチンで家事をしながら子どもを見守れます。
親の目が届きやすく、必要なときにコミュニケーションをとれる点が魅力です。
ただし子どもは成長するにつれて、プライベートな子ども部屋を求める傾向があります。
将来を見据えて、スキップフロアとは別に子ども部屋を確保しておくと安心です。
人数分の子ども部屋をつくるのが難しい場合は、広い部屋を可動式の壁で仕切る方法があります。
書斎
スキップフロアは書斎としても活用できます。読書や手芸など、書斎の使い方は多種多様です。
デスクセットやインターネット環境を整えれば、リモートワークの仕事場にもなります。
コロナ禍以降、家で仕事をすることが増えたという方は多いのではないでしょうか。
スキップフロアの書斎は、仕事をしながら家族を見守りたい方に最適です。
一方で集中したい方にとっては、ほかの部屋の音が作業の邪魔になる可能性があります。
例えば書斎の横にリビングや子ども部屋があると、音が気になって集中できません。
オンラインの打ち合わせや集中して作業をしたい場合は、書斎とほかの部屋の位置関係に気を付けましょう。
セカンドリビング
スキップフロアをセカンドリビングとして活用する方も多いです。セカンドリビングとは、メインリビングとは別の二番目のリビングです。
もともとセカンドリビングは二世帯住宅で取り入れられることが多かったのですが、最近は一世帯で暮らす住宅でも注目されています。
セカンドリビングの使い方は、メインリビングの横に畳敷きの小上がりスペースを設けたり、階段を上った先にピアノを置いたりする活用例があります。
床の高さを変えるだけで「家族が集まるメインリビング」と「一人で寛げるセカンドリビング」のようにゆるやかな仕切りが生まれる仕組みです。
収納
収納スペースが不足している場合は、スキップフロアを収納スペースとして活用するのがおすすめです。
平屋では生活の必須スペースを設けるのが精一杯で、十分な収納スペースを設けられないことがあります。
厚手のコートや扇風機など季節限定で必要なものは意外と多いです。
子どものおもちゃ・本の置き場所に悩んでいる方も多いでしょう。
このように普段は使わないものをスキップフロアに収納できると、居住空間がすっきりします。
背の低い収納スペースであれば、スキップフロアの下にあるデッドスペースも有効活用できます。
掃除家電や消耗品のストックを収納しておくと便利でしょう。
また、収納のみの目的であれば、スキップフロアではなくロフトを検討してみてはいかがでしょうか。
建築基準法の条件を満たせば、固定資産税を減らせる可能性があります。
ちゅうこだて!の「住まいの紹介サービス」では、中古一戸建て探しのご相談を24時間チャットで受け付けております。
ぜひお気軽にご利用ください。
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平屋のスキップフロアで後悔しないポイント
平屋のスキップフロアで後悔しないポイントは以下のとおりです。
- スキップフロアの利用目的を決める
- 老後の暮らしを見据えた間取りにする
- 断熱性を高める
スキップフロアの利用目的を決める
明確な利用目的がないまま平屋にスキップフロアをつくるのは後悔のもとです。
時間が経つにつれて使われなくなり、無駄なスペースになってしまう可能性があります。
スキップフロアを設置する際は、最初に利用目的を考えましょう。
また、利用目的を考えるときは、一人で決めるのではなく、家族で話し合うことが大切です。
利用目的が決まったら、ほかの部屋との相性も考えなければなりません。
スキップフロアの利用目的を書斎と決まれば、子ども部屋とは離すなど、あらかじめ間取りの配置を工夫できます。
長期的な視点で利用目的を考えることも、後悔しないポイントです。
子どもが小さいうちはスキップフロアを子ども部屋として使い、独立したあとは来客用寝室にするなど、将来のイメージも膨らませておきましょう。
老後の暮らしを見据えた間取りにする
「若いときにスキップフロアをつくったものの、年を取ってから使いづらい」という後悔の声は多く聞かれます。
ずっと快適に暮らしていくためには、老後のライフスタイルを見据えてスキップフロアを計画することが肝心です。
リビングやキッチンなどの機能をスキップフロアにつくってしまうと、毎日階段の上り下りをしなければならず足腰の負担が大きいです。
最悪の場合、段差から転倒してしまうなど、深刻な事故につながる危険性もあります。
生活の必須スペースは、できるだけ段差のない一階部分で完結させましょう。
スキップフロアは使用頻度の少ない収納や来客用客室として使用するのがおすすめです。
スキップフロア以外の部分は車椅子が使えるように段差をなくす、手すりを設置するなど、バリアフリー機能を整えておきます。
断熱性を高める
スキップフロアがある平屋は、空調が効きにくく光熱費が高くなるのが難点です。
部屋全体を快適な温度に保つためには、断熱性を高める必要があります。
断熱性が高い平屋にすれば、スキップフロアのある広い空間であっても、快適な室温を長時間キープしやすいです。
具体的な方法は外壁やサッシに断熱性の高い素材を使用することや、窓の位置を工夫することです。
断熱性に優れた素材は数多く登場しているため、性能と価格のバランスが良いものを選びましょう。
平屋全体の空調を一括で管理できる全館空調を活用するのも手です。
全館空調は小屋裏に大型の空調設備を設置して、空調を管理する仕組みです。
導入コストがかかりますが、室内の温度差が少なくなり、ヒートショックや熱中症のリスクを防止できます。
まとめ
スキップフロアがある平屋は縦の空間を有効活用でき、日当たりが良く開放的な雰囲気を演出できるのがメリットです。
スキップフロアの使い方はさまざまですが、来客用の寝室や書斎など使用頻度が少ない部屋として活用すれば、老後の生活にも支障が出ません。
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